猫回虫 Toxocara catiという線虫による寄生虫疾患です。この寄生虫の成虫は体長約10-12cmにもなる比較的大きな虫で、主に小腸に寄生します。症状は腹部の膨満や食欲の低下、排便量の減少があり、また寄生虫の成長過程においては咳が認められることもあります。多くの場合、感染した猫が排出した虫卵を経口摂取することで感染が成立することが多く、比較的若い猫が感染しやすいことから、母猫が感染源となることが多いです。診断には成虫を発見するか、基本的には便検査において特徴的な虫卵を発見することです。治療は駆虫薬を投与することで、比較的治療反応は良く、予後は良好なことがほとんどです。ただし、子猫が感染する場合、重症感染個体では症状も重篤化しやすいので、注意が必要です。 写真は猫の吐物から認められた(恐らくになりますが)猫回虫の成虫です。また、もう一枚の写真は最近発売されたフロントラインシリーズのスポットオンドラッグで、ノミダニだけでなく今回取り上げた猫回虫やその他様々な疾患の寄生虫駆除効果を持った外用薬です。比較的若い猫が感染する機会の多い病気なので、子猫を迎える際には便の検査とこういった駆虫薬をお勧めしています。気になることがあればお気軽に病院へご連絡していただければと思います。5a3435f4de272524aea8abe2e7e6aaac4ca1536b.jpeg f758f748ef355f7d88728a1b46c6cb26bbeb5bde.jpeg