PC201275.JPG犬の乳腺腫瘍は各種の腫瘍の中でも発生の多い腫瘍です。組織学的には50%以上は良性です。まれに雄犬でも発生すると言われています。原因はエストロゲン・プロゲステロンなどのホルモンとの関係が示唆されています。好発年齢は8~10歳齢位ですが若齢犬に診られることもあります。ホルモンとの関係があるので初回発情前に避妊手術をすると乳腺腫瘍の発生率が0%に近く、また生涯の発情回数に比例して、乳腺腫瘍の発生率が上がるという報告もあります。ですから初回発情がきて、出産予定のない犬は早期に避妊手術をすることをお勧めいたします。避妊手術を早期に行い、乳腺腫瘍の発生を抑制し、また子宮蓄膿症を予防し、中高齢期で手術をするリスクをさげるという考えが普及しています。

初期の乳腺腫瘍は症状や痛みを伴わないことが多いので、飼い主・獣医師・トリマーなどにより しこりを乳腺部に発見することが多いです。左右の前肢の付け根付近から内股にかけて乳腺がありますのでその範囲を日ごろから触って、しこりを確認する必要があります。

乳腺腫瘍はまず手術により摘出し、その摘出した乳腺の病理組織学的検査で、良性・悪性の診断が行われます。手術の方法はその大きさ、数などにより、部分切除・片側乳腺切除・両側乳腺切除が行われます。悪性の乳腺腫瘍は血液やリンパ系を介して、周囲への転移や肺への転移がありますのでレントゲン検査等で確認をする必要があります。